日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン第3.1版(2024年版)

第Ⅱ章 リンパ腫

Ⅱ リンパ腫

6 バーキットリンパ腫/ 高悪性度B細胞リンパ腫
(Burkitt lymphoma/high-grade B-cell lymphoma:BL/HGBL)

総論

バーキットリンパ腫(Burkitt lymphoma:BL)は胚中心B細胞を起源とする極めてアグレッシブな成熟B細胞腫瘍であり,骨髄や中枢神経などの節外浸潤を生じやすい特徴を持つ。白血病の臨床像が主体となることもあるが,これもBLの一亜型として扱われる。病態機構に基づき,赤道アフリカなどのマラリア流行地域においてEpstein-Barrウイルス(EBV)が関与し小児に発症するendemic BL,その他の地域で散発的に発症するsporadic BL,HIV感染や臓器移植・造血幹細胞移植後の免疫抑制下に生じる免疫不全関連BLの3つに分類される1)。日本にみられるのは後2者のタイプであり,これらの亜型でEBVが関与する頻度は20〜40%とされる2)。小児・AYA世代の悪性リンパ腫においては代表的疾患の一つであり3),頻度は低いが成人においても幅広い年齢層で発症が認められる。
 腫瘍組織の病理所見では,空胞を伴うN/C比の高い好塩基性の中型リンパ腫細胞の単調な増殖と淡明なマクロファージによるstarry sky appearanceの像を認める。胚中心B細胞起源を反映してCD10やBcl-6が陽性となる一方,Bcl-2やTdTは陰性であることが他病型との鑑別となる。また,Ki-67陽性割合が95%以上であるのがBLの大きな特徴である。染色体解析ではMYC転座が100%の症例で陽性となる2)
 BLは強力化学療法が奏効すれば治癒を得ることのできる疾患であるが,逆に治癒が得られない場合の予後は極めて不良である。米国での実臨床データを用いた後方視的解析において,①年齢40歳以上,②PS 2以上,③血清LDHが基準値上限の3倍以上,④中枢神経浸潤陽性,の4つが独立したPFS不良因子として同定され,これらの数により低リスク群(0項目),中間リスク群(1項目),高リスク群(2項目以上)に分類すると,3年PFSはそれぞれ92%,72%,53%,OSは96%,76%,59%と予後の層別化が可能との結果が示された。この予後予測指標(BL-IPI)は,他国データセットによる検証も踏まえ,HIV感染の有無や病期に関わらず予後を層別化することが可能であると報告されている4)
 一方,高悪性度B細胞リンパ腫(high-grade B-cell lymphoma : HGBL)は,DLBCLにもBLにも分類が困難でその中間的な性質を持つアグレッシブなB細胞リンパ腫である。WHO分類(2017)では,MYCBCL2またはBCL6転座を持つdouble-hit lymphoma(DHL)と,これらの転座を持たないがDLBCLとBLの中間的組織像を呈するものがHGBLに含まれる。なお,11q異常を有するバーキット様リンパ腫は,BLやHGBLに組織像は類似しながらMYC転座は認めない。若年者において限局期リンパ節病変でみつかることが多く,少数例の検討ながらR-CHOP類似レジメンあるいは小児レジメンで高いCR割合が報告され,BLよりも胚中心B細胞型DLBCLに近い分子病態を持つことが示されている5,6)

参考文献

1) Molyneux EM, et al. Burkitt’s lymphoma. Lancet. 2012; 379(9822): 1234-44.

2) Perkins AS, et al. Burkitt lymphoma in adults. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2008 : 341-8.

3) Dunleavy K, et al. Management of aggressive B-cell NHLs in the AYA population: an adult vs pediatric perspective. Blood. 2018; 132(4): 369-75.

4) Olszewski AJ, et al. Burkitt Lymphoma International Prognostic Index. J Clin Oncol. 2021; 39(10): 1129-38.

5) Gonzalez-Farre B, et al. Burkitt-like lymphoma with 11q aberration: a germinal center-derived lymphoma genetically unrelated to Burkitt lymphoma. Haematologica. 2019; 104(9): 1822-9.

6) Wagener R, et al. The mutational landscape of Burkitt-like lymphoma with 11q aberration is distinct from that of Burkitt lymphoma. Blood. 2019; 133(9): 962-6.

 

アルゴリズム

BLは増殖スピードが極めて速く,短期間のうちに全身に播種を生じ,多臓器障害にも進展し得ることから,迅速な診断と治療開始が必要である。化学療法感受性の高い疾患であるが,R-CHOPでは病勢が抑えきれず治療成績は不良であり,根治を目指した多剤併用の強力化学療法が有用であることが示されている(CQ1)。腫瘍崩壊症候群の中間〜高リスクに相当する疾患であり,特に初回治療では大量輸液や尿酸降下薬による対応を要し,急性腎不全を合併する状況では人工透析による血液浄化が必要となる場合もある(CQ2)。中枢神経系(CNS)浸潤をきたしやすく,治療や予防の目的で大量メトトレキサート(MTX)療法や髄注を含む治療を行う必要がある(CQ3)。
 再発する場合はほとんどが1年以内に生じ,治療がうまく奏効すれば治癒を得ることが可能である反面,初期治療に失敗した症例の予後は不良である(CQ4)。定まった救援化学療法は存在しないが,もし奏効すれば引き続き移植治療を行うことが検討される(CQ5)。
 HGBLに対してはBLに準じた強力化学療法の有用性が示唆されているが,有害事象も強く,高齢者や全身状態不良の症例においては忍容性に注意する必要がある。再発・難治性症例においては救援化学療法に加え,移植治療やキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法(CAR-T細胞療法)も選択肢となる(CQ6)。

 

CQ1 未治療BLの初回治療としてどのような治療が勧められるか

推奨グレード
カテゴリー2A

治療強度を高めた治療レジメン(DA-EPOCH-R,modified CODOX-M/IVAC+R,R-hyper-CVAD/MA)のいずれかを行うことが勧められる。

解説

BLは,治療強度を高めた化学療法レジメン(DA-EPOCH-R 1,2),modified CODOX-M/ IVAC 3-6)+R 7),R-hyper-CVAD 8),LMB 9),BFM 10))での治療により,70〜90%の長期生存が得られる。それぞれを比較した第Ⅲ相試験の結果はまだ報告されていないが,これらのレジメンによる成人未治療BLの治療成績として,北欧のレジストリデータでの解析(2000〜2009年258例;BFM 71例,hyper-CVAD 71例,CODOX-M/IVAC 32例; 2年OSはそれぞれ82%,83%,69%)11),オーストラリア,北米,北欧のレジストリデータでの解析(2004〜2017年264例;R-CODOX-M/IVAC 124例,R-hyper-CVAD/MA 41例,DA-EPOCH-R 28例,R-BFM/GMALL 66例;2年OS 84%,2年EFS 80%)12),米国30施設による後方視的解析(2009〜2018年641例,CODOX-M/IVAC 194例,hyper-CVAD/MA 195例,DA-EPOCH 181例;3年OS 70%,3年PFS 64%)13)では,いずれも治療レジメン間での成績は同等であった。なお,北欧のレジストリデータでの解析では,CHOP/CHOEPにより治療された49例が含まれていたが,2年OS 38.8%と不良であり,CHOPあるいはそれに類似した治療法は不適であることが再確認された11)
 リツキシマブ(R)併用の意義について,LMBではランダム化第Ⅲ相比較試験9)において,R併用群が3年EFS(75% vs. 62%),3年OS(83% vs. 70%)とも有意に優れることが証明されている。他のレジメンではR併用について第Ⅲ相試験による評価は行われていないが,前方視的試験の結果やR併用による有害事象は軽微であることから,Rは併用されている。DA-EPOCH-Rは,年齢やHIV感染の有無にかかわらず有効であり,高齢者やHIV陽性患者では有力な選択肢となるが,CNS浸潤例では治療関連死亡または治療不応のリスクが高く4年EFS 45.5%と有意に不良である1)ことから,初診時CNS病変のある症例では他のレジメン(大量MTXを含む)が優先される。また,急激な病勢進行により病理診断の確定が待てずに治療介入が必要となることは少なくないが,このような場合には前方視的試験の選択基準でも許容されているように4),CHOP療法で治療を開始しても構わない。ただし,CHOP療法の完遂では予後不良なため,診断が確定した後に前述のいずれかのレジメンに変更することが勧められる。

参考文献

1) Roschewski M, et al. Multicenter Study of Risk-Adapted Therapy with Dose-Adjusted EPOCH-R in Adults with Untreated Burkitt Lymphoma. J Clin Oncol. 2020; 38(22): 2519-29.(3iiiDi)

2) Dunleavy K, et al. Low-intensity therapy in adults with Burkitt’s lymphoma. N Engl J Med. 2013; 369(20): 1915-25.(3iiiDi)

3) Magrath I, et al. Adults and children with small non-cleaved-cell lymphoma have a similar excellent outcome when treated with the same chemotherapy regimen. J Clin Oncol. 1996; 14(3): 925-34.(3iiiDi)

4) Mead GM, et al. An international evaluation of CODOX-M and CODOX-M alternating with IVAC in adult Burkitt’s lymphoma: results of United Kingdom Lymphoma Group LY06 study. Ann Oncol. 2002; 13(8): 1264-74.(3iiiDi)

5) Mead GM, et al. A prospective clinicopathologic study of dose-modified CODOX-M/IVAC in patients with sporadic Burkitt lymphoma defined using cytogenetic and immunophenotypic criteria(MRC/NCRI LY10 trial). Blood. 2008; 112(6): 2248-60.(3iiiDiii)

6) Maruyama D, et al. Modified cyclophosphamide, vincristine, doxorubicin, and methotrexate(CODOX-M)/ifosfamide, etoposide, and cytarabine(IVAC)therapy with or without rituximab in Japanese adult patients with Burkitt lymphoma(BL)and B cell lymphoma, unclassifiable, with Burkitt lymphoma(BL)and B cell lymphoma, unclassifiable, with features intermediate between diffuse large B cell lymphoma and BL. Int J Hematol. 2010; 92(5): 732-43.(3iiiA)

7) Barnes JA, et al. Evaluation of the addition of rituximab to CODOX-M/IVAC for Burkitt’s lymphoma: a retrospective analysis. Ann Oncol. 2011; 22(8): 1859-64.(3iiiDiv)

8) Thomas DA, et al. Chemoimmunotherapy with hyper-CVAD plus rituximab for the treatment of adult Burkitt and Burkitt-type lymphoma or acute lymphoblastic leukemia. Cancer. 2006; 106(7): 1569-80.(3iiiA)

9) Ribrag V, et al. Rituximab and dose-dense chemotherapy for adults with Burkitt’s lymphoma: a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial. Lancet. 2016; 387(10036): 2402-11.(1iiDi)

10)Tauro S, et al. Dose-intensified treatment of Burkitt lymphoma and B-cell lymphoma unclassifiable,(with features intermediate between diffuse large B-cell lymphoma and Burkitt lymphoma)in young adults. Am J Hematol. 2010; 85(4): 261-3.(3iiiDi)

11)Wästerlid T, et al. Impact of chemotherapy regimen and rituximab in adult Burkitt lymphoma: a retrospective population-based study from the Nordic Lymphoma Group. Ann Oncol. 2013; 24(7): 1879-86.(3iiiA)

12)Jakobsen LH, et al. Minimal relapse risk and early normalization of survival for patients with Burkitt lymphoma treated with intensive immunochemotherapy: an international study of 264 real-world patients. Br J Haematol. 2020; 189(4): 661-71.(3iiiA)

13)Evens AM, et al. Burkitt lymphoma in the modern era: real-world outcomes and prognostication across 30 US cancer centers. Blood. 2021; 137(3): 374-86.(3iiiA)

 

CQ2 BLの腫瘍崩壊症候群のリスクはどのように評価し,どのような予防が勧められるか

推奨グレード
カテゴリー2A

BLは,一部の症例(限局期かつLDH正常上限の2倍未満)を除いて,腫瘍崩壊症候群の高リスクに分類される。初回治療時には,大量補液とラスブリカーゼによる対策が勧められる。

解説

ドイツを中心としたBFMグループで2つの試験(1990〜2001年)に登録された18歳以下の非ホジキンリンパ腫1,791例による解析では,全体の腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome : TLS)の発症率は4.4%であったのに対し,BL(白血病含む)では8.4%と高かったことが報告されている。また,TLSおよび関連する無尿の発症率は,大量補液+アロプリノールでは20.5%,15.4%であったのに対し,大量補液+ラスブリカーゼでは各々9.4%,3.8%と低率であった1)。エキスパートパネルにより提唱されたリスク分類2)では,BLは,限局期かつLDH正常上限の2倍未満は中間リスクに,他は高リスクに分類された。予防として,中間リスクでは大量補液(3 L/m2/日)とアロプリノール 1日100〜300mgが,高リスクでは大量補液(3 L/m2/日)とラスブリカーゼ 0.1〜0.2mg/kgを1回投与し,その後も臨床的に必要な場合は繰り返し投与を行うことが推奨された。尿のアルカリ化は不要である2,3)。韓国からのTLS高リスクの非ホジキンリンパ腫67例(BL 9例を含む)に対する予防的ラスブリカーゼ単回投与の報告では,laboratory TLS[尿酸(>8.0mg/dL or 25%増加),カリウム(>6.0 mEq/L or 25%増加),リン(>4.5 mEq/L or 25%増加),補正カルシウム(<7.0mg/dL or 25%減少)のうち2つ以上]の発症は2例(3.0%)で,clinical TLSは発症を認めなかった4)。これらの結果から,BLでは,一部の症例(限局期かつLDH正常上限の2倍未満)を除いて,大量補液とラスブリカーゼの投与によるTLSの対策が勧められる。

参考文献

1) Wössman W, et al. Incidence of tumor lysis syndrome in children with advanced stage Burkitt’s lymphoma/leukemia before and after introduction of prophylactic use of urate oxidase. Ann Hematol. 2003; 82(3): 160-5.(3iiiDiv)

2) Cairo MS, et al. Recommendations for the evaluation of risk and prophylaxis of tumour lysis syndrome(TLS)in adults and children with malignant diseases: an expert TLS panel consensus. Br J Haematol. 2010; 149(4): 578-86.(レビュー)

3) Coiffier B, et al. Guidelines for the management of pediatric and adult tumor lysis syndrome: an evidence-based review. J Clin Oncol. 2008; 26(16): 2767-78.(レビュー)

4) Jeon YW, et al. Effectiveness of Single-dose Rasburicase in Patients With Lymphoid Malignancies at a High Risk for Tumor Lysis Syndrome. Clin Lymphoma Myeloma Leuk. 2017; 17(9): 595-603.(3iiiDiv)

 

CQ3 BLの中枢神経系浸潤に対してどのような予防や治療が勧められるか

推奨グレード
カテゴリー2B

髄液検体のフローサイトメトリーを含めCNS浸潤の評価を行い,CNS浸潤のある症例では,大量メトトレキサートを含むレジメンを選択する。CNS浸潤のない症例にDA-EPOCH-R療法を行う場合は,予防としてメトトレキサート髄注(計8回)が勧められる。

解説

BLはCNS浸潤をきたしやすく,CNS再発予防治療のない場合30〜50%がCNS再発することが知られている1)。米国30施設の後方視的解析2)では,641例中120例(19%)が初発時にCNS浸潤を認めていたが,これらの症例は初発時にCNS浸潤のない症例に比べCR率が有意に低く(59% vs. 77%),治療レジメンによらず3年OS(49% vs. 74%),3年PFS(46% vs. 69%)は劣っていた3)。また,再発した167例(26%)のうちCNS浸潤を認めたのは39例(初発時CNS浸潤あり21例,なし18例)であった。全体の3年CNS再発率は6%であり,stage Ⅳ,初発時CNS浸潤ありと相関がみられた。治療レジメン別の解析では,3年CNS再発率はCODOX-M/IVAC療法(4%),hyper-CVAD/MA療法(3%)に対し,DA-EPOCH-R療法(13%)と高く,特に初発時CNS浸潤がありDA-EPOCH-R療法を受けた症例では3年CNS再発率は35%と高率であった3)。R-hyper-CVAD/MA療法の長期成績の報告では,BL 54例のCNS再発は2例(4%)4)と低率であった。また,カナダからのCODOX-M/IVAC療法±リツキシマブ(R)によるBL 81例の報告では,8例(11%)に初発時CNS浸潤を認めたが予後との関連はみられず,若年,R使用,大量メトトレキサート(MTX)療法が予後良好因子であった。
 CODOX-M/IVAC療法,hyper-CVAD/MA療法では大量MTX療法をレジメンに含むのに対し,DA-EPOCH-R療法には含まれない。DA-EPOCH-R療法でのCNS再発予防/治療は髄注のみ(高リスクかつCNS浸潤陰性ではMTX髄注を計8回,CNS浸潤陽性ではMTX髄注を計16回以上)であるが,前方視的第Ⅱ相試験5)において診断時に高リスクかつCNS浸潤を認めなかった81例については2例にのみ脳実質の再発を認めたのに対し,初発時CNS浸潤を認めた11例中6例が進行もしくは死亡しておりコントロール不良であった。
 DLBCLを含むB細胞リンパ腫においてCNS浸潤の高感度検出のためフローサイトメトリー(FCM)の有用性が評価されている。高リスクの初発51例(DLBCL 43例,BL 8例)に髄液細胞診およびFCMを行い,うち11例がFCM陽性であったが,細胞診陽性は1例のみであった。FCM陽性11例のうち10例では,DA-EPOCH-R療法に加えMTX髄注(計16回以上)が行われたが,5例(45%)が臨床的にCNS再発し死亡した。一方,CNS高リスクでかつFCMでCNS浸潤が検出されなかった40例については,CNS予防(MTX髄注)が行われ,その後のCNS再発は3例(8%)にとどまった6)

参考文献

1) Hill QA, et al. CNS prophylaxis in lymphoma: Who to target and what therapy to use. Blood Rev. 2006; 20(6): 319-32.(レビュー)

2) Evens AM, et al. Burkitt lymphoma in the modern era: Real-world outcomes and prognostication across 30 US cancer centers. Blood. 2021; 137(3): 374-86.(3iiiA)

3) Zayac AS, et al. Outcomes of Burkitt lymphoma with central nervous system involvement: Evidence from a large multicenter cohort study. Haematologica. 2021; 106(7): 1932-42.(3iiiDiii)

4) Samra B, et al. Long-term outcome of hyper-CVAD-R for Burkitt leukemia/lymphoma and high-grade B-cell lymphoma: Focus on CNS relapse. Blood Adv. 2021; 5(20): 3913-8.(3iiiA)

5) Roschewski M, et al. Multicenter Study of Risk-Adapted Therapy with Dose-Adjusted EPOCH-R in Adults with Untreated Burkitt Lymphoma. J Clin Oncol. 2020; 38(22): 2519-29.(3iiiDi)

6) Hegde U, et al. High incidence of occult leptomeningeal disease detected by flow cytometry in newly diagnosed aggressive B-cell lymphomas at risk for central nervous system involvement: The role of flow cytometry versus cytology. Blood. 2005; 105(2): 496-502.(3iiiDiv)

 

CQ4 BLの治療後のフォローアップはどのような方法で行うことが勧められるか

推奨グレード
カテゴリー2B

初回治療によりCR獲得後2年以降の再発は極めて稀であり,少なくともそれ以後の定期画像検査は推奨されない。二次がんなどの治療後合併症に注意して診療を行うことが勧められる。

解説

米国のSurveillance,Epidemiology,and End Results(SEER)データベースによる成人BL 2,284例の解析によると,再発・疾患進行の約9割は診断後1年以内に生じ,診断後3年以降の超過死亡割合はほぼゼロとなることが示されている1,2)。北欧・カナダなど6カ国におけるリツキシマブ(R)含有強力化学療法を受けた成人BL 264例の解析においても,CR獲得後2年以内の再発割合は6%であり,特にCR獲得後12カ月以降の再発割合は0.6%と極めて低く,平均余命は一般人口とほぼ差がないことが示されている3)
 一方,強力化学療法を受けたBL患者における二次がんは,米国の後方視的研究において6%(25例)に認められ,そのうち10例にMDSおよびAMLをBL診断から期間中央値45カ月後に,8例に他病型のリンパ腫を期間中央値63カ月後に発症したことが報告されている2)
 BLではFDG高集積を生じる腫瘍であり,PET/CTによる病期評価はCTよりも優れ,治療終了時のPET/CTの陰性的中率も100%であったことが示されている4,5)。しかし,初回治療後CRが得られた小児悪性リンパ腫の後方視的解析では,BL 30例中再発した2例はいずれも定期的に行われていた画像検査ではなく臨床症状を契機に再発が判明したと報告されており6),本疾患の特性からも定期画像検査は再発の早期発見には不向きであり、放射線被曝による二次がんのリスクや費用の観点からも推奨されていない6,7)。それ以降の診療は,二次がんなどの治療後合併症に留意して診療を行うことが勧められる。

参考文献

1) Castillo JJ, et al. Population-based prognostic factors for survival in patients with Burkitt lymphoma: an analysis from the Surveillance, Epidemiology, and End Results database. Cancer. 2013; 119(20): 3672-9.(3iA)

2) Evens AM, et al. Burkitt lymphoma in the modern era: real-world outcomes and prognostication across 30 US cancer centers. Blood. 2021; 137(3): 374-86.(3iiiA)

3) Jakobsen LH, et al. Minimal relapse risk and early normalization of survival for patients with Burkitt lymphoma treated with intensive immunochemotherapy: an international study of 264 real-world patients. Br J Haematol. 2020; 189(4): 661-71.(3iiiA)

4) Carrillo-Cruz E, et al. Role of 18F-FDG-PET/CT in the management of Burkitt lymphoma. Eur J Haematol. 2015; 94(1): 23-30.(3iiiDiv)

5) Albano D, et al. Metabolic behavior and prognostic value of early and end of treatment 18F-FDG PET/ CT in adult Burkitt’s lymphoma: the role of Deauville and IHP criteria. Leuk Lymphoma. 2019; 60(2): 326-33.(3iiiDiv)

6) Eissa HM, et al. Pediatric Burkitt's lymphoma and diffuse B-cell lymphoma: are surveillance scans required? Pediatr Hematol Oncol. 2014; 31(3): 253-7.(3iiiDiv)

7) Cheson BD, et al. Recommendations for initial evaluation, staging, and response assessment of Hodgkin and non-Hodgkin lymphoma: the Lugano classification. J Clin Oncol. 2014; 32(27): 3059-68.(レビュー)

 

CQ5 治療抵抗性・再発性BLに対してどのような治療が勧められるか

推奨グレード
カテゴリー2A

治療抵抗性・再発性BLは予後不良であり,救援化学療法後,奏効が得られれば引き続き移植治療を行うことが勧められる。

解説

初期治療抵抗性BLの予後は極めて不良である。米国の後方視的解析では3年OSは11%であり1),オランダの後方視的解析でも22例中1例でしかその後の治療が奏効しなかったと報告されている2)。また,早期再発症例も予後が悪く,MDアンダーソンがんセンターにおける初期治療抵抗性・再発性BLおよびHGBL 35例の解析において,治療抵抗性もしくは6カ月未満の再発で救援化学療法が奏効した症例はなく,6カ月以上経過後の再発症例での奏効割合は61%であった。再発からのOS中央値はそれぞれ1.4カ月,5.0カ月であった3)
 救援化学療法はリツキシマブ(R)とICE療法,hyper-CVAD/MA療法,DA-EPOCH療法,IVAC療法,ESHAP療法などの化学療法レジメンが用いられるが1,3,4),これらの治療間の優劣は明らかでない。残存病変が限局する場合は放射線治療の追加も選択肢となる1,2)
 救援化学療法で奏効が得られれば引き続き移植治療が考慮される。1985〜2007年に同種・自家移植が行われたBL 241例を対象としたCIBMTRの解析5)では,救援化学療法でCRを得て自家移植を行った場合,自家移植後の5年PFSは44%,5年OSは53%であり,CRが得られれば自家移植を行うことが勧められる。なお,非CRで自家移植を行った場合の5年OSは22%であった。
 一方,同種移植における5年OSは20%(第一寛解期を除く)5),NRMは2〜3割と報告され5,6),条件が許せば同種移植は難治性症例に対して検討し得る。NHL-BFM試験に参加した157例の小児の再発・難治性BLの解析では,20例が自家移植,26例が同種移植を受け,R-VICI療法による救援化学療法後に同種移植を行った群の初回進行後4年の生存割合は67±12%(standard error)と,それ以外の救援化学療法を生存割合18±5%に比べて有意に良好であったことが示されている7)

参考文献

1) Evens AM, et al. Burkitt lymphoma in the modern era: real-world outcomes and prognostication across 30 US cancer centers. Blood. 2021; 137(3): 374-86.(3iiiA)

2) Oosten LEM, et al. Treatment of sporadic Burkitt lymphoma in adults, a retrospective comparison of four treatment regimens. Ann Hematol. 2018; 97(2): 255-66.(3iiiA)

3) Short NJ, et al. Outcomes of adults with relapsed or refractory Burkitt and high-grade B-cell leukemia/ lymphoma. Am J Hematol. 2017; 92(6): E114-7.(3iiiA)

4) Griffin TC, et al. A study of rituximab and ifosfamide, carboplatin, and etoposide chemotherapy in children with recurrent/refractory B-cell(CD20+)non-Hodgkin lymphoma and mature B-cell acute lymphoblastic leukemia: a report from the Children’s Oncology Group. Pediatr Blood Cancer. 2009; 52(2): 177-81.(3iiiDiv)

5) Maramattom LV, et al. Autologous and allogeneic transplantation for burkitt lymphoma outcomes and changes in utilization: a report from the center for international blood and marrow transplant research. Biol Blood Marrow Transplant. 2013; 19(2): 173-9.(3iiiA)

6) Peniket AJ, et al. An EBMT registry matched study of allogeneic stem cell transplants for lymphoma: allogeneic transplantation is associated with a lower relapse rate but a higher procedure-related mortality rate than autologous transplantation. Bone Marrow Transplant. 2003; 31(8): 667-78.(3iiiA)

7) Woessmann W, et al. Progressive or relapsed Burkitt lymphoma or leukemia in children and adolescents after BFM-type first-line therapy. Blood. 2020; 135(14): 1124-32.(3iiiA)

 

CQ6 HGBLに対してどのような治療が勧められるか

推奨グレード
カテゴリー2A

HGBLに対する治療方針としてはBLに準じた強力化学療法が勧められる。

解説

HGBLは一般にR-CHOP療法では予後不良であり,直接的な前方視的比較試験は存在しないが,BLに準じたDA-EPOCH-R療法やhyper-CVAD療法,CODOX-M/IVAC療法などの強力化学療法の有用性が示唆されている1-3)。しかし有害事象も強く,高齢者や全身状態不良の症例においては忍容性が問題となる3)。限局期症例においてはR-CHOP療法でも治療成績は良く,強力化学療法を行う意義は乏しいことが示唆されている4)。また,DHLに対する強力化学療法後のupfrontの自家移植は予後を改善しないことが後方視的解析で示されている5)
 再発・難治性HGBLのOS中央値は約8カ月とされ,特に初期治療抵抗性や1年以内の再発症例は極めて予後不良である5,6)。195例のHGBLを含む再発・難治性アグレッシブB細胞リンパ腫の後方視的解析では,全奏効割合は43%(CR 23%,PR 20%),PFS中央値は3カ月であったが,奏効が得られた症例の49%が自家移植を受け,PFS中央値は18.3カ月であったとされ,救援化学療法が奏効した症例では自家移植が選択肢となる6)。また,同種移植により寛解維持できた症例も報告されており7),NRMが2割程度存在するが,条件がそろえば同種移植も考慮される。またCAR-T細胞療法の有用性も報告されており,条件を満たせば治療選択肢となる8-10)。なお,高悪性度B細胞リンパ腫の疾患名で国内の保険適用があるのはリソカブタゲン マラルユーセルとアキシカブタゲン シロルユーセルである。

参考文献

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