2012 Highlights of ASH in Asia in Singapore 派遣レポート 今橋 伸彦 (名古屋大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学)

 この度、3月3日から4日にシンガポールで開催されました、Highlights of ASH in Asiaに参加させていただきました。

シンガポールはマレー半島の先端に位置する東京23区とほぼ同じ大きさの島国です。学会会場の周辺の街並みはとても近代的で大都会という感じでした。また、ショッピングセンター内などには、ホーカーズという昔の屋台を集めたようなものがあり、そこには中国料理、マレー料理、インド料理などの様々な国の料理が並んでおり、非常に多様性に富んでいる印象を受けました。ちなみにシンガポールでは食事は基本的に外食で済ます文化とのことで、ホーカーズはたくさんの人で混み合っていました。とても活気があり、アジアらしさを感じたのは言うまでもありません。

私はこれまでにASHに参加したことはありましたが、Highlights of ASHに参加するのは今回が初めてでした。会の冒頭に参加者の国名が読み上げられ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンなど10カ国以上からきていることがわかりました。プログラムは急性白血病、骨髄異形成症候群などといった14のテーマにわかれており、各テーマごとに去年のASHで発表された演題のうち、重要なものを紹介するというものでした。従って、新しい情報がでてくることはなかったように思いますが、ASHで発表された膨大な情報の内、重要なものを効率よく知ることができました。各テーマの時間は30分と短かったですが、演者はいずれもその領域のエキスパートであり、単に演題の結果を紹介するというだけではなく、その演題をどのように解釈するかといったコメントもあり、解説が非常に分かりやすかったことが印象的でした。その他、ディスカッションやLunch with the expertsという時間が設けられており、演者の先生方に直接質問をできる機会や、他国からの参加者と話をする機会もありました。発表を聞いていて感じたのは、選ばれた演題の多くは前向き研究に関するものであったことでした。後方視的研究ではバイアスが問題であるということはよく言われることですが、世界で必要とされている情報はやはり前向き研究の結果であるということを改めて認識しました。また全体を通して、教育ということに非常に重きがおかれているということも感じました。たとえば、演者の先生は10人以上いましたが、どの発表も基本的に“アウトライン → 問題を提起するための症例の提示 → その問題に答えを提示しうる演題の紹介 → まとめ”という構成に統一されていたことにより、分かりやすくなっていたように思います。また発表のスライドがプログラムブックの中にのせられていたので、ついていけなかった場合でもあとから確認することができたこともありがたかったです。

最後になりましたが、このような貴重な機会を与えて下さりました日本血液学会、直江先生に心から感謝申し上げます。

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